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 『沢山のメッセージ』

2009/06/13(Sat)

今日は、育毛の本を4冊プレゼントしたエフエムとおかまちの佐藤です。
この本はある出版社からの提供でしたが、
提供出版社からの電話を取ったのは佐々木さんらしいのです。
そこで佐々木さんは、
仕事で僕がいないことを良いことに、
こともあろうに、

『ウチには育毛担当がいまして、佐藤と言うのですが、ちょっと外出しているので、佐藤にもう一度連絡いただけますか?』

と言ったのでした。
僕が外出先から会社に帰って来ると、
その出版社から電話がかかってきて、
まんまと育毛の本プレゼント係りにされてしまいました。
とりあえず4冊は、
リスナープレゼントで終了しました。

さて、もう1ネタ。
今日本番中にスタジオの隣の事務所で何度か電話が鳴っていました。
ご存知の方も多いかと思いますが、
土曜日のラジオアシスの4時間は、
僕が1人で放送しています。
スタッフは誰もいません。
なので土曜日だけ、
電話のリクエストは受けられないのです。
(本番中に電話には出られませんからね)
ですが、何度かベルが鳴ります。
ちょっと回数が多いので、
曲をかけている間に電話に出ていました。
すると・・・。

『佐藤さん、今日は事務所に誰もいないの!?』

の声・・・。
山崎麻里アナウンサーでした・・・。
まっ・・・麻里さん・・・。
もう、ラジオアシス4時間1人の生放送を始めて2ヶ月半・・・。
麻里さんがその事を知らなかったなんて・・・(^^;)
ビックリしました(汗)

さてさて、そんなラジオアシスも、
沢山のメッセージをいただけるようになってきました。
本当にありがたいことです。
以前にも、このブログに書きましたが、
やっぱりパーソナリティーが乗って番組を放送するエネルギーは、
リスナーさんからのメッセージです。
パーソナリティーはリスナーさんからエネルギーをいただきます。
反応が多ければ多いほど、
ノッて喋ります。
結果、番組が面白くなるのです。
そして、メッセージの内容が面白かったり、
感動的だったり、笑えたり、泣けたりすると、
もっともっと面白い番組が放送できます。

僕はラジオアシスを放送する朝、
こんなことを考えます。

『今日は4時間の航海(放送)の末、何処に行き着くのだろう?』

生放送は本当に行くあてのない航海です。
今日のようにメッセージが多く、
リスナーさんのエネルギーを沢山もらえて嬉しい日もあれば、
メッセージの数が少なく、

『僕の言葉は伝わっているのだろうか?』

と、ちょっと落ち込む日もあります。
あるいは、メッセージの数は少なくても、
内容が濃いメッセージがあり、
心が満たされるときもあるのです。

とは言え、1通でもメッセージがある限り。
1人でも聴いてくださるリスナーがいる限り。
僕はラジオで話しつづけたいと思います。

来週もHAPPY TUNEでヨロシク!!

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ストーリーオアシス 第10回

2009年6月6日放送

『真夜中のタクシー』

作・朗読 佐藤広樹
テーマ設定 ラジオネーム・津南町のカミカミさん


東京駅
週末の夜。
タクシー乗り場の客はまばらで、すぐにタクシーに乗ることができた。
タクシーに乗ると、運転手が話しかけてきた。

「あっ、お客さん一年前の今日このタクシーに乗ったでしょう?」

私は驚いてルームミラーに映る運転手の顔を見たが覚えてはいなかった。
よほど私が不思議そうな顔をしていたのだろう、
運転手は笑顔でこちらを振り向いた。
そして、小さな鞄の中から一枚の写真を取り出した。

「これ、一年前に忘れていったでしょう。」

私はその写真を手に取ってみた。
都会の夜は照明が煌々とつき、
タクシーの車内でも写真はハッキリと見ることができた。
その写真には、私と娘と、異人館の上に立つ風見鶏が写っていた。

「お客さん、一年前に忘れていったんだよ。」

写真には、一年前の今日の日付が焼きこまれていた。

「確か、別れた奥さんと娘さんは神戸にいるでしたよね。去年、車の中でそんな話をしたのを覚えています。」

「そうでしたね。思い出しました。あの時の・・・。」

「はい・・・。確か今日が娘さんの誕生日・・・ですよね。」

「えぇ、一年ぶりに娘に会いに神戸へ行ってきました。」

「そうでか。良かったですね。・・・確か去年は渋谷に送ったと思うのですが。」
「はい。今夜も渋谷へお願いします。」

「かしこまりました。」


真夜中の都会を
タクシーはスルスルと動き出した。
私は車内で、一年前の娘の写真を眺めていた。
写真には、都会のネオンが写りこみ、
様々な色に変化した。
そのキラキラした写真の中で、
娘と私と風見鶏が笑っていた。

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ストーリーオアシス 第11回

2009年6月13日放送

『雨』

作・朗読 佐藤広樹


雨の季節・・・。
雨は嫌いではないから、雨が降っても憂鬱ではない。
雨が降るとむしろ、雨音を聴きながら静かに考え事ができる。
しかし、今日の雨にはまいっていた。
会社から駅まで歩いて10分。
傘を忘れてしまって、歩いては駅まで行けない。
かといってタクシーに乗る距離でもない。
残業をしていたら、
同僚は皆帰ってしまった。
雨がたくさん落ちてくる夜空を見上げたが、
何の解決策も思い当たらなかった。
その時、

「この傘をつかってください。」

と声がした。
見ると、一人の老人が傘を透明な傘をさして私の目の前に立っていた。
そして、右手にもったもう一本の傘を私に差し出している。
私がボーっと老人を見ると、老人は微笑みながら、

「遠慮なく、この傘を使ってください。雨で駅までいけなくて困っておられるのでしょう?」

と言った。

「あ・・いや・・・どなたか駅に向かえにいかれるんじゃないのですか?」

私は老人に訊ねた。

「いえ、駅まで向かえに行った帰りです。」

1人で立つ老人を私はじっと見つめた。

「孫娘を向かえにいったのです・・・。帰ってくるはずの無い孫娘を・・・。」
「帰るはずのない・・・?」

「はい、雨の日は、私がいつも駅まで傘を持ち、駅まで迎えにいくのが日課でした。でも、その孫娘も去年、病気で亡くなりまして・・・。もう、帰って来ないのはわかっているのですが、・・・なんだか雨が降ると、孫娘が駅で待っているような気がしてつい・・・。」

「そうでしたか・・・。」

「すみません・・・なんだか、話すぎてしまいました。さぁ、この傘を使ってください。」

「はい・・・でも、返すことができないかもしれません。連絡先を教えてください。」

「いや、返さなくてもけっこうです。雨で困っている人が使ってくださったら、私が駅まで来たことも無駄ではなかったと思えますから・・・。」

そう行って、老人は駅とは反対の方向へ歩いていった。

夜空からは雨はまだが降っていた。
老人の淋しげな背中を見送り、
私も傘をさして雨の道を歩きだした・・・。







佐藤広樹



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