『発言には責任を』 |
2008/11/13(Thu) 寒くなってきましたね。 今朝は本当に寒い朝ですね。 でも、この季節、夜空を見上げると、 本当に就き星が綺麗です。 昨夜も綺麗でした。 そんな宇宙に、日本人の山ア直子さんが、 再来年スペースシャトルで行くことになりました。 僕達の世代は、 松本零士さんの『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』を見て、 宇宙に興味を持った人が多いのではないかと思うのです。 僕もその1人ですから・・・。 宇宙飛行士の山崎直子さんも、 999やヤマトを観て宇宙への夢を拡げた1人。 とても親近感がわいています。 そんなこんなで、今週は夜空を見上げて、 宇宙に想いを馳せている佐藤です。 で、宇宙よりちょっと下にある空では、 このところ少し雲がかかっているように見えます。 田母神前航空幕僚長のいわゆる『歴史認識論文問題』です。 これは、1995年に当時の総理大臣だった村山首相が、 戦後50年と言う節目の歳に発表した『村山談話』 と反する内容の論文を、 田母神前航空幕僚長が発表したのです。 いわゆる村山談話は、『前戦争における日本の責任を認め、特にアジア諸国に対して謝罪した内容』として、 以降、日本政府の歴史認識の基盤となっているものなのです。 村山首相以後の内閣は、この村山談話を機軸に、 外交を進めてきたのです。 特に、中国や韓国といった国々との今日の関係があるのも、 この村山談話が大きな影響を与えていると言って良いのではないでしょうか。 僕は特定の政治的思想も無いし、 難しい事は良くわかりませんが、 ただ"国益"を考えた場合。 近隣諸国との関係が良くなっていくことは大切な意味を持つと思っています。 誤解のないように書くと、 僕が考える"国益"とは、 自国の利益だけではなく、 世界と言う広い視野の中で、 他国との関係を良好にし、 自国も他国にも"国益"をもたらす関係を築くことことこそ、 本当の意味での国益だと思っているのです。 例えば、僕達の仕事。 ラジオでの放送では、 "自由に話している"のですが、 なにもかも"好き勝手に話している"のでありません。 "自由に話す"(言論の自由)と"好き勝手に話す"のは全然違います。 僕達が放送で話す時、 あるいは公式の場でアナウンスをする場合。 自分の言葉の影響力や、 地域社会や会社の不利益にならないように、 細心の注意を払った上で、 "自由に話し""自由に表現"しています。 先日、ある人と"話す"について話しました。 我々アナウンサー・ラジオパーソナリティーの"話す"とは、 『相手に、話の内容いかに伝え、心に残すことができるか』 なのです。 で、最近、若者に限らず『とにかく自分の話しはした』と言う、 "言いっ放し"の人が増えているのではないか!? つまり、相手に伝わるとか、相手を傷つけるとはおかまいなしに、 『とにかく自分の話しはした』状態を、 "自由に話すとか言論の自由"と履き違えている人がいるように感じています。 僕は思うのです。 『自由とは、社会ルールを守り、他を思いやりながら保たれるべきもの』 だと・・・。 僕達マスコミには"言論の自由"が与えられています。 でも、その与えられた自由とは、 『何を発言しても良い』と言うことではありません。 そこにはおのずと"発言や表現の影響力と責任"があります。 田母神前幕僚長は、 お書きになり、発表した論文を、 『言論の自由、表現の自由』と発言されたようですが、 『言論の自由、表現の自由』を履き違えているように思えてなりません。 個人としての歴史認識や、 一般の人から有識者や歴史家まで、 歴史認識を発表し、歴史認識を論議していくことは、 間違いなく必要なことだと思うのですが、 航空自衛隊トップと言う、 とてつもなく影響力もあり、 発言一つで国益を損ねる立場の人は、 もっともっと発言に責任を感じてほしいものです。 国益を考えず、発言し行動する人が、 自衛隊と言う国防に関わるトップだと言うことが、 実はとても怖いことなのだと思うのです。 自由に自分の思う通り何でも発言しても良い。なら・・・。 最近、問題になっているネットイジメで、 自分の意見だけをネットに書き込むのと同じレベルではないでしょうか? まして、公人と呼ばれる立場の人には、 どんなにその主義主張が立派でも、 公益にならない主義主張は考えて発言してほしい。 考えてみてください。 政治家や官僚でなくとも、 世の中公の場で、 自分の思っていることを好き勝手に話せる人がいるでしょうか? 僕達、この不景気の厳しい社会で頑張っているサラリーマンや経営者の皆さん、 そして民間で働く人なら、 誰でもわかっているはずです。 実際に、11日の参議院防衛委員会では、 田母神前航空幕僚長に対する参考人質疑が行われましたが、 防衛問題となれば、 拉致問題や、某国の核問題、オバマ民主党政権となるアメリカとの同盟関係、 そして何より差し迫っている海上自衛隊による給油をどうするのか? あたご事故をはじめ、 前事務次官の問題などの不祥事。 防衛問題は山積している中で、 ここ数日、この問題だけが論議され、 マスコミを賑わし、他の問題の影が薄れている。 この問題の影で、大切な問題が置き去りにされている。 これこそ、国益に反するものだと思うのです。 公的立場の方こそ、発言には責任を・・・。 佐藤広樹
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