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 ストーリーオアシス

2009/04/11(Sat)

今日は、ラジオアシスで新しく始まったコーナー

『ストーリーオアシス』

の二週間分(2回放送)の原稿を掲載します。
このコーナーの前進は、
開局当時、満10スマイルの中で、
高野アナが放送していた朗読劇のコーナーがありました。
確か、高野アナが

『毎朝、素敵な物語をリスナーに届けたい』

と企画して始まったコーナーでした。
当時、僕はペンネームで書いていました。
こう言った文章は、
5分〜10分程度で書くことができるので、
高野アナの企画コーナー実現のために、
毎週書くことになったのだと思います。

さて、とても地味なコーナーですが、
とりあえず毎週、新作でおおくりしますので、
おつきあいください。

雑文ですが、ご容赦ください。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★



ストーリーオアシス1回目 
2009年4月4日放送 

「四月の朝」

作・朗読 佐藤広樹


朝、いつもと変わらない穏やかな朝。
レースの白いカーテンは、
春の柔らかな朝の光を、
ゆらゆらゆらしながら、
この部屋に入れている。
キッチンでは妻が朝食の準備をし、
私の足元ではミニチュアダックスフンドのリリが
黒く、小さくまるまって眠っている。
私は新聞を読みながら、
妻の料理を待っている。

朝、いつもと変わらない穏やかな朝。
いつもと違うのは・・・。
昨日までは今頃寝ぼけて起きてくる娘が、
もう出かけてしまったことだ。
私の会社にも、
今日新入社員が入ってくるが、
娘も今日から社会人。
紺色のスーツに身を包み、
今朝は早起きをして会社に出かけた。

あの子が生まれた22年前・・・。
私はまだ独立して会社を作ったばかりで、
毎日毎日、必死で働いていた。
だから、保育園も小学校も中学校も、
イベント事はすべて妻が行っていた。
娘には、淋しい思いばかりさせていた。

そんなあの子も、
今日から社会人となった・・・。

朝、いつもと変わらない穏やかな朝・・・。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★


ストーリーオアシス2回目 
2009年4月11日放送 

「春の街」

作・朗読 佐藤広樹


白い壁の病室。
窓からは、
四月の青に染められた空が見える。
春の風が、まだ蕾の桜の木を、
揺らすのが見える。
聞こえるのは、
鶯の鳴き声と、
カエルの鳴き声。
厳しい冬を越えて、
この街は、生命力がみなぎる季節を迎えた。
私は、冬の始めに倒れ、
この病室に来た。
辛い手術や治療に耐えてきた。
ずっと病室の白い壁と、
窓から見える白い雪を見てきた。
でも、今窓から見える風景は、
色鮮やかで、
生命力に満ちている。
私もこの街の春のように、
力強く優しく生きていきたい。
と、思う。
空の青、桜の蕾、鶯の鳴き声、カエルの鳴き声。
私も病気に打ち勝ち、
この街の春の仲間入りをしたいと思う。
頑張ろう…。頑張って生きよう…。
この病室の窓から見える、
生命力あふれる春の街のように…。



佐藤広樹



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